友達や職場の人達と話をしていると実感しますが、マネー本で書かれているような内容って世間ではあまり知られていません。
そこで今回は会社のリスクと個人のリスクを切り離す、という考え方についてまとめてみました。
たまごは1つのかごに盛るな
私たち日本人が資産形成していく上で、個人のリスクを会社と切り離すことは重要です。なぜなら一般的なサラリーマンの所得の源泉は1つの会社からの給与で成り立っているからです。
「たまごは1つのかごに盛るな」
という格言は分散投資の重要性を説く資産運用の原則として知られていますが、残念ながら多くのサラリーマンはたまご(収入)を1つのかご(会社)に盛っているのが現状です。
こういった人々は、所属する会社が破綻して給与が得られなくなると収入の源泉を失い路頭に迷うことになります。
こうした会社のリスクをヘッジするためにも、私たちサラリーマンは以下のような行動をするべきです。
- 副業して所属する会社以外の収入源を得る
- 転職市場での価値を上げる
- 確定拠出年金を活用して自分年金を確立する
- 自社株を買わない
ちなみに上2つは人的資本に関するリスクヘッジで、下2つは金融資本に関するリスクヘッジです
副業して所属する会社以外の収入源を得る
まず、副業についてですが、多くのマネー本を読むと大体以下のような主張が紹介されています。
「収入を一本化せずに複数の収入源を得ましょう」
これは前述した「たまごを1つのかごに盛るな」と同じ考え方です。
ところで副業には、
- 労働時間の対価として収入を得るもの
- 仕事の成果への対価として収入を得るもの
があります。
前者はバイトが一般的ですね。働いた時間分だけ給料がもらえます。一方、後者はインターネットを活用した収入などがよく知られています(ブログの広告収入など)
多くの人は、サラリーマンとして1日の大部分の時間を会社の業務に割り当てているため、副業のためにさらなる時間を捻出して稼ぐという方法は非現実的です
それよりもスキマ時間を有効活用して良いモノを作り上げ、その対価として収入を得る方がはるかに合理的です。
この方法の問題点として、十分な収入を得られるのはほんの一握りの人達で、ほとんどの人は鳴かず飛ばずの微々たる収入しか得られない(ロングテールの世界)という現実があります。ですがロングテールの世界は成功すれば収入は青天井なので本業で安定した収入がある(ベルカーブの世界)のであれば、副業は成果で勝負する環境に身を置くというのは決して悪い話ではありません
現状では副業が禁止されている会社に所属している人もいるのでサラリーマンで収入源の複数化に本格的に取り組める人は少ないでしょう。ただ社会的にも副業容認の流れに変わってきているので今後の行方に注目です。
日本企業で副業が「原則OK」へ?働き方改革に戸惑いの声 – ライブドアニュース
転職市場での価値を上げる
「転職市場価値を上げる」とは、言い換えると、
「仕事の専門性を高めて今の会社を解雇されてもすぐ雇ってもらえるよう人的資本を高めましょう」
ということです。こちらの方がサラリーマンにとっては現実的なのかもしれません。
転職市場では、会社内の人脈(人事部に同期がいる等)は価値を持たないため客観的に評価されるスキルを磨かなければなりません(資格を取るなど)。
転職市場での価値が高いと、ブラック企業で働かなくて済みますし、社畜にならないような働き方をすることも可能です。
すべてのビジネスパーソンは上司からの評価よりも市場からの評価を意識して働きましょう。
確定拠出年金を活用して自分年金を確立する
確定拠出年金制度とは自分のリスクで将来の資金を運用する制度で、減税効果も含めると非常にオトクな制度です。
確定“給付”年金とは違い運用資金は個人に紐付いているため会社が潰れてもその影響が個人に及ぶことはありません。
2017年から企業年金を採用している会社に所属している人でも「個人型確定拠出年金制度(iDeCo)」に加入できるようになりました。興味がある人は早く申し込みましょう。
この確定拠出年金を活用することで将来の年金リスク(退職金リスク)を会社と切り離すことができます。
自社株を買わない
従業員に自社株の購入を促進している会社も多いと思います。会社としては、従業員が株を買い支えるので暴落等のリスクを回避できるメリットがあります。また従業員も何かしらのプレミアムが付与されるケースが多いです(買付金の補助など)。
しかしながら、「たまごを1つのかごに盛るな」という原則に立ち返るとこれはとてもリスキーな投資です。これは自分が保有する人的資本と金融資本を同一の会社のみで運用していることと同じです。
自社株に投資する余裕資金があるのならNISAや確定拠出年金でインデックスファンドを購入しましょう。これが経済学的に正しい運用方法(現代ポートフォリオ理論)です。
それでも余裕がある場合に、自社株投資を考えてみてください。
さいごに
これまで会社のリスクを個人と切り離すことについて述べてきました。しかし、海外投資を楽しむ会の橘玲氏は個人のリスクを国家とも切り離すべきと主張しています。
確かにこれまで紹介してきた4つの方法は、日本国が破綻しないことを前提としています(確定拠出年金を活用していても日本国が破綻すれば無一文になってしまいます)。
橘玲氏の紹介する内容は上級編ですが、今後こういった生き方に近づいていけたらと思います。
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