お金を貯める上で、誰もが実践できて、直ぐに効果をあげられる方法はスバリ「節約」です。節約を徹底していけばお金も効果的に貯まり、幸福度も上がっていくことでしょう。
しかし、お金を稼げばその分幸せになれるかというとそうでもありません。2002年にノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学の心理学者、ダニエル・カーネマン教授の研究によると、幸福感は年収7万5000ドル(約900万円)までは比例して増えますが、それ以上になると比例しなくなることがわかっています。
これは貯金額についても同様です。経済学には「限界効用の逓減」という法則があります。これは1杯目のビールが一番美味しく2杯目以降はその満足度が減っていくことからも分かるように、財から得られる効用は財の増加分に対して徐々に減っていくというものです。私自身の経験からも、ひたすら節約して資産額が増えてきても、その嬉しさの変化の度合いは年々小さくなってきています。
このように節約は確かに幸福度に寄与しますが、あるポイントを境に幸福度に与える影響は小さくなってきます。これは、お金を増やすことで得られる幸せから使うことで得られる幸せの方が大きくなるうることを意味しています。それではいったい何にお金を使うことが幸せに結びつくのでしょうか?
こうした問いにハーバード大学の研究が1つの答えを出しています。それは、ズバリ「時間を買うこと」です。
ハーバード大学の研究チームは、食事の宅配や掃除の代行などのサービスにお金を支払い、自分の時間を増やした人のほうが、そうでない人に比べてより高い満足度が得られ、幸せに感じる人が多いという調査結果を発表しました1)Ashley V. Whillans, Elizabeth W. Dunn, Paul Smeets, Rene Bekkers, and Michael I. Norton. Buying time promotes happiness. PNAS, 2017 DOI: 10.1073/pnas.1706541114。
言われてみれば、なんとなく納得ですよね。成功本などで「お金持ちより時間持ちを目指そう」などと言われるのもこうした理由からかもしれません。
お金持ちから時間持ちになり心に余裕が生まれてくるのかもしれませんね。もちろんお金の有効な使い道には、投資、寄付、慈善活動などいろいろとあります。自分のフェーズに合わせて幸福度を最大化していきたいですね。
参考
1. | ↑ | Ashley V. Whillans, Elizabeth W. Dunn, Paul Smeets, Rene Bekkers, and Michael I. Norton. Buying time promotes happiness. PNAS, 2017 DOI: 10.1073/pnas.1706541114 |
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