トランス脂肪酸は何が悪いのか?

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菓子パンなに使用されるマーガリンやショートニングは「トランス脂肪酸」が含まれているのでなるべく摂取しない方がいいと言われています。

しかし、「そもそもトランス脂肪酸とは何か?」「どんな影響があるのか?」「科学的な根拠はあるのか?」という問いに答えてくれる情報がなかったので自分でまとめてみました。

トランス脂肪酸とは?

不飽和脂肪酸のうち炭素の二重結合のまわりの構造がトランス型のものを「トランス脂肪酸」と呼んでいます。

高校で習う「化学」を忘れている人にはこの説明のみでは不十分ですので1つずつ説明しましょう。

不飽和脂肪酸とは?

脂質と脂肪酸のはなし/平成22年9月 消費者庁食品表示課 より引用

不飽和脂肪酸とは、炭素(C)と水素(H)と酸素(O)の元素で構成される脂肪酸のうち、炭素と炭素の二重結合(C=C)を含むもののことを言います。

栄養学的な位置付けは?


脂肪酸は図のように位置付けられます。そもそも人間に特に必要な栄養の成分は次の5つであると言われています。

  • 炭水化物
  • タンパク質
  • 脂質
  • ビタミン
  • ミネラル

今回取り上げる「脂質」は水に不要で有機溶媒に溶解する化合物のことを指します。

脂質の中でとりわけ重要なのが人間のエネルギー源となる「脂肪酸」だというわけです。

シス型、トランス型とは?

脂質と脂肪酸のはなし平成22年9月 消費者庁食品表示課 より引用

脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられ、さらに不飽和脂肪酸はシス型とトランス型とに分類されます。シス型とトランス型は光学異性体の関係(構造式が同一であるにもかかわらず立体的には重ね合わせることができない関係)にあり、炭素の二重結合のまわりの構造がトランス型のものをまとめてトランス脂肪酸と呼んでいます。

トランス(trans)は「横切って」の意味。Transfer(移転する)、Transplant(移植する)などからイメージしやすいですね。

自然界のほとんどの不飽和脂肪酸は、反芻動物の井の中の微生物によって生成されたもの(天然のトランス脂肪酸: バクセン酸など)を除き「シス型」で存在します。しかし、植物油から固体の油脂を工業的に製造する場合、水素を添加することによってトランス型の脂肪酸が生成されてしまうことがあります。これがいわゆる「トランス脂肪酸」と呼ばれる脂肪酸で、マーガリンやショートニングなどに多く含まれていると言われています。

トランス脂肪酸は健康に悪い?

トランス脂肪酸が健康に悪影響を及ぼすことは科学的に立証されています。トランス脂肪酸摂取の及ぼす悪い作用は次のようなものがあります1)Mozaffarian D, Aro A, Willett WC. Health effects of trans-fatty acids: experimental and observational evidence. Eur J Clin Nutr. 2009;63 Suppl 2:S5–21.

  • LDL(悪玉)コレステロールやHDL(善玉)コレステロールなどの脂質濃度に悪い影響を与える。
  • 血管に炎症をおこす。
  • 血管の内側の機能に異常をきたす

上記の作用は、世界の研究結果を踏まえた上で専門家の意見が一致したものであり疑う余地はありません。

摂取基準は?

こうした影響を踏まえて、「人間栄養における脂肪及び脂肪酸に関するFAO/WHO合同専門家会合 (2010)」の暫定報告書では、トランス脂肪酸の摂取量を反すう動物由来のものと工業由来のものを合わせて総エネルギー摂取量の1%未満とする目標値を設定しております。

日本人の食事摂取基準(2015年版(2014年3月、厚生労働省)では、脂質に関しては、総脂質と飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸について目標量(※1)や目安量(※2)の基準を定めています。トランス脂肪酸について、目標量の基準は定められていません2)トランス脂肪酸の摂取と健康への影響:農林水産省

日本人にも悪影響?

日本人であってもトランス脂肪酸による健康への悪影響は報告されています。

  • 全国の15大学で栄養学科に所属する18–22歳の女子学生1136人におけるトランス脂肪酸の摂取量と代謝危険因子の関連を調査。結果、トランス脂肪酸の総摂取量および工業的に作られたトランス脂肪酸の摂取量が高い人ほど、腹囲が大きく、血中の中性脂肪、ヘモグロビンA1cが高かった3)Yamada M, Sasaki S, Murakami K, Takahashi Y, Uenishi K. Association of trans fatty acid intake with metabolic risk factors among free-living young Japanese women. Asia Pac J Clin Nutr. 2009;18(3):359–71.

どの食品が悪いのか?

ずばりコンビニの菓子パン類です。これも研究結果が報告されています。

  • 栄養専門大学に通う20歳前後の女子学生25人を対象に7日間の食事記録を行い分析した。結果、トランス脂肪酸の摂取量に最も寄与した食品類は菓子パン類で平均摂取量は1.2g (総エネルギーの0.6%)であった。25人中3人は特に摂取量が高く(2.8g–3.3g)、フライドポテトや菓子パン類が最も多く寄与していた4)川端、兵庫、荻原ら(2008) 食事の実測による若年女性のトランス脂肪酸摂取量. 日本栄養・食糧学会誌. 61(4):161.

どんな人がトランス脂肪酸を摂りすぎてる?

都市部の女性というのがキーワードのようです。いわゆるキャリアウーマンですかね。これも日本の社会構造をよく表した結果が報告されています。

まとめ

工業的に生成されるトランス脂肪酸は「百害あって一利なし」。なるべく摂取を避け、特に日本人はコンビニの菓子パンを避けるようにしましょう。

参考   [ + ]

1. Mozaffarian D, Aro A, Willett WC. Health effects of trans-fatty acids: experimental and observational evidence. Eur J Clin Nutr. 2009;63 Suppl 2:S5–21.
2. トランス脂肪酸の摂取と健康への影響:農林水産省
3. Yamada M, Sasaki S, Murakami K, Takahashi Y, Uenishi K. Association of trans fatty acid intake with metabolic risk factors among free-living young Japanese women. Asia Pac J Clin Nutr. 2009;18(3):359–71.
4. 川端、兵庫、荻原ら(2008) 食事の実測による若年女性のトランス脂肪酸摂取量. 日本栄養・食糧学会誌. 61(4):161.
5. Yamada M, Sasaki S, Murakami K, et al. Estimation of trans fatty acid intake in Japanese adults using 16-day diet records based on a food composition database developed for the Japanese population. J Epidemiol. 2010;20(2):119–27.

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